Old Color Pale and Vivid

こんな街に私は住んでいたことがあるらしい


今となっては記憶などというものは全くあてにならないことがはっきりと認められるので、この写真の街に私が住んでいたかどうかなどどうでもいいことなのだろう。
レンガ造りの建物は確かにあったし、それは名の通った建築物でもあるのだからこの写真のような佇まいかどうか見る人が見れば明らかなこと。つまり、この写真は大嘘でもある。
私はその大嘘の景色に愛着あり、この街がかつて住んだことのある街であることに違いないのだと思うことは道理がないわけではない。
即ち、街はいつも記憶の漂いの中で美しく輝き、寂しく思い起こされ、悲しく忘れていくものなのだと思うので、たとえ嘘街であってもわたしの心の映写機としては一向に差し支えは無い。







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